アラサー女の二死満塁ブログ

ピンチでもありチャンスでもある

不妊治療 体外受精①移植・判定日編

採卵翌日14時、クリニックからメール。正常に受精し3細胞まで分割しているらしい。

すでに可愛い。生命ってすごい。

採卵後に処方された抗生剤が私のお腹をぶっ壊していたがひとまず安心が勝った。


採卵の2日後、体外で育った胚を体内に戻す。

胚移植だ。


クリニックに来院すると、まずは培養士から今回の胚について説明があった。

・細胞は5分割まで成長

・グレードは3

(1〜5あり、1に近いほどよい。1〜3の妊娠率に大差はない。4になると妊娠率はガクッと落ち、5は移植しても子どもにならないから移植しないそうだ。)

・移植までの時間に4に落ちることはなく、グレード2になる可能性も十分にある

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グレード3か…自分の年齢を過信してたなと恥じいる。低空飛行であることは否めないが、移植できるだけで御の字だ。あとはたまごちゃんと自分のカラダを信じる。


40分ほど待ち、手術室があるフロアへ。

ピンクのガウンに着替えお手洗いを済ませ、ベッドに待機。

手術室に呼ばれる。いざ!

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モニター内の名前確認、静脈確認、手指消毒。

下半身丸出しで脚を開いて手術台に上がる。

「本人確認のため名前と生年月日をお願いします」

個人情報を告げる。個人情報がやまびこされる。

だめだ、やはりおもしろい。だが、笑ってはいけない。ここは手術室だ。


医師が私の股を消毒している間に、枕元にいる看護師からの指示。

奥の空間にある大きいモニターを見るように言われ顔を左に向ける。小さい粒がある。

「これが胚です。これをいまからカテーテルで吸い取り、移植します。」


いのち。そこにいのちがある。まだちっちゃい細胞だけど。もうかわいい。どうしよう。


涙で見えにくいモニター内では、小さい粒にストローのような筒が近付いている。


あっ、吸われた。


いつのまにか私の股には超音波の機器が挿入されており、顔の右にある枕元モニターには子宮内のエコー画像が映されている。


培養士が何かを持って医師に近づく。下腹部に少し圧を感じる。カテーテルが子宮内に入っているようだ。画面内では白いストローがおずおずと子宮内を進んでいる。

ストローから白い小さな粒がプッと吹き出された。


看護師「今、胚が子宮の中に置かれました」


おおお。すごい。

小学生並みの感想しか出てこない。


医師「カテーテル内に胚が残っていないか確認します」


徹底している。安心だ。


「残留なしです」的なことをやまびこされたのち、私は手術室を出た。

20分安静。遠慮なく寝た。


しばらくして看護師がカーテンをめくり尋ねてきた。体調は問題ないか聞かれたあと、新たな処方薬の説明。

デュファストンという、黄体ホルモンを補充する薬だ。子宮内を着床しやすい状態に近付け、着床後は妊娠状態の維持に役立つそうだ。これを12日分1日3回飲めとのこと。

ツイッターの妊活戦士たちが飲んでいたものを、ついに私も飲むようになった。デュファストン、名前だけは知っていてよく目に入ってくるけど処方されたことはない。まるで芸能人に会った気分だ。


会計を待つため待ち合いフロアへ。

有名人(薬)に遭遇し、にわかにウキウキしていた私の前にとんでもない請求額が飛び込んできた。


¥140,437


じゅ…じゅうよんまんえん!!!!

いや、知ってたけど!!!!

ホームページやら口コミやら隅から隅まで見てたから知ってはいたけども!!!!

ほんとに払うんだね!?←


※これでも初回治療のみの「成功報酬制度」を利用していたのでこの程度でした。このまま妊娠成立したら成功報酬を追加で納めることになります。もしそうならトータル5〜60万円くらいになるのか?さぶいぼ出ますね

※クリニックごとに料金やコース設定は全然違います、これはKクリニックの場合です


クレジットカードで支払い。ポイントめっちゃ貯まるなこれは。

 


妊娠したか、してないかの「判定日」は12日後。生理予定日の前日くらいだ。

生理がきてしまっても採血による判定をするので必ず来院してくださいとのこと。


判定日までの間は、極めて大人しく過ごした。念のため自転車には乗らず、禁酒もした。生ものも控えた。カフェインレス生活になった。

 


判定日は土曜だったので、夫がクリニックについてきてくれた。

緊張する、と私があまりにも喚くもんだから、見かねた夫が「陽性ならたまごクラブを買って帰る。陰性なら寿司と日本酒。どのパターンでも楽しみを作っておこう」と提案してくれた。

相変わらず神か?夫の優しさに心がホッとした。


夫「たまごクラブ、ひよこクラブがあるなら終活クラブとか作らないのかな」

私「表紙のフォント変わりそうやな」

夫「♪おわりクラブ・ひつぎクラブ♪」

私「(とんでもねえな)」


夫「荼毘クラブ♪」


_人人人人人人人_

> 荼毘クラブ <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


もしも子どもが望めなかったとしても、このひととなら一生ふたりで生きていけるな。と荼毘クラブが出てきたときに感じたものである。

 


クリニック到着、即採血。


待合室で待機。夫が隣でコーヒーを飲んでいる。羨ましい。


診察室に呼ばれた。心臓がバクバクしている。

転院後一発で授かった、夫の部下の方が頭によぎる。あれ、これで晴れて妊婦になったらわたし大丈夫?やり残したこととかない?一生いまの体には戻れないってことだよね。いや、今さら後には退けない、行くしかない。


医師を前に、椅子に腰かける。

A4の紙ペラが差し出される。検査結果だ。

「(数値のひとつを指差して)ここがゼロになっているので、残念ですが今回は着床していません。」

 


だめだった。ゼロか。そうか。

 


待合室で待つ夫には、だめだった、と報告した。と思う。

正直自分がどんな様子だったか覚えていない。

 


会計の¥7,000を払うとき「これ、何にかかった7千円なんだろう」と思ったことだけ覚えている。

 


そのあとふたりで餃子を食べ、歩きながらコーヒーを飲み、夜は寿司と日本酒を流し込んで帰宅した。

笑えていたと思う。

夫が隣にいてくれて、ただただありがたかった。

 

 

「妊娠してたらどうしよう」だなんて甘いことを考えていた割に、一連の苦労がドッと思い出された。胃に墨汁が流れ込んでくるような気持ちだ。恥ずかしくて重い。ぐちゃぐちゃだ。

 

しかし、前に進んだ。経験ができた。やるかやらないかで悩んでいたときよりよっぽどいい。

また頑張ればいい。お寿司美味しかったし。

 

 

メンタルは寿司(と夫)によりV字回復。

かかった費用の領収書をかき集め、保健所に「不妊治療助成金」の申請をしにいく。今回かかった約18万はまるまる助成金で返ってくるっぽい。

※今までの制度だと我が家の場合所得制限に引っかかっていた。そして最大補助額が15万円までだった。自治体によって助成額は違うが埼玉はめっちゃ充実しているらしい。

サンキュー助成拡充。サンキュー菅総理

 


保健所の帰り道、可愛い赤ちゃんとすれ違った。ほんのちょっとだけつらかった。