アラサー女の二死満塁ブログ

ピンチでもありチャンスでもある

不妊治療 体外受精③移植・判定日編

「妊娠するまで伸ばす!」と決めた髪。

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ショートだったのがセミロングになるまで伸びてしまった。時の流れは残酷だ。

鏡を見るたび、かかった月日を思ってズドンと気が重くなるので色々と断ち切りたくて文字通り断髪した。

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やはり扱いやすい。最高だ。

願掛けが向いてない性格なのがよーく分かった。人生常に勉強だな。


自分を好きでいられる方がいい。ショートの方が自分らしくいられる気がして好きだ。

ストレスはよくないって言ってたしな。


コロナワクチンの副反応を乗り越え、ついに移植当日。

2021年10月。

採血。異常なし。

移植自体は2月以来2回目か。感慨深い。

手術室を出ても、お腹にたまごがある実感はなくいつもどおり。

器具が股を出入りしたので生理痛のようなズンと重い感覚のみ。

会計¥88,649-


判定日は6日後。

抗生剤とデュファストンを処方される。

胚移植後 過ごし方」でググる日々。

自分を妊婦だと思って生活してください、とのこと。

体を冷やさないこと、飲酒喫煙をしないこと、激しい運動をしないこと等。

そわそわ、胃がキリキリ痛む6日間だった。


判定日当日。

陰性判定の夢を見る。しかも2回。

やめてくれよマイ脳。

 


クリニックに到着。

採血をする。配偶者の付き添いNGになっていたのでひとりきりだ。

胃がめちゃくちゃ痛い。こわい。


問診室の前に呼ばれた。

もはや胃が出そう。異物飲み込んだら胃ごと洗うカエルいたよね?と余計なことを思い出す。

今私が胃を洗い始めたらクリニックの業務が滞ってしまうので、ほかの来院患者のためにやめておいた。

 

問診室のドア。1回目の陰性判定のときと同じドア。

つらい思い出がよぎる。

中に呼ばれるのをじっと待つ。揺れてる?地震か?と思ったら私の心臓がうるさいだけだった。

トイレに行きたい気もしてきた。内臓各所が何らかのサインを発している。あーもうだめだ、心臓が痛い。採卵のときに握らせてもらったデカいお手玉みたいなん今欲しい。


呼ばれた。ドアを開ける。

医師がA4の紙ペラを私の前に提示する。

 


「β-HCG 31.3なので今回着床しています」

 


え、なんて?

あまりにもサラッと言われたので理解が追いつかない。


紙をじっと確認。

初回の移植ではゼロだった数値が今回31.3。

あっ、先生がボールペンでグリグリと丸をつけた。


医師はふたたびサラッとひとことつぶやいた。

「おめでとうございます」

 


お、おおおおおおお

陽性ってことか。いま宿ってますよということか。

 


「あ…ありがとうございます」

自分ののどから出た声が震えていた。

 


次回の来院について説明を受ける。

今の時点で妊娠3週。

・5週で胎嚢確認(子宮内に赤ちゃんの袋があるか)

・7週で1回目の心拍確認(赤ちゃんの心臓が動いているか)

・9週で2回目の心拍確認

これが終われば不妊治療クリニックは卒業とのこと。


次の来院日に予約を入れ、診察室を退出。

医師が丸をつけたプリントを震える手で受け取った。


会計待ち。待ち合いロビー。着席。放心。とりあえず夫にLINE。

すぐ返事きた。喜んでくれた。

 

およそ2年。

ずいぶん長い道のりのように感じた。

鉛を飲み続けるような生活だった。

100万円近くかかったし、治療と仕事の両立もしんどかったがついにここまでこれた。

 

 

 

2022年3月下旬。

このブログを書いている現在は妊娠26週め、もうすぐ妊娠8ヶ月、といったところだ。

6月末出産予定。

 


妊娠判明してから現在に至るまでも様々な不安やトラブル、おもしろいことがたくさんあったので今後記事にしていきたい。


ブログを読んで応援してくれたみなさまに感謝です。


産まれるまで、産まれてからもどうなるかわからないけれど、引き続き見守っていただけると嬉しいです。

不妊治療 体外受精③採卵編

2021年7月。

落ち込む暇なく、ふたたび採卵周期に入る。

またクロミッドを数日服用。


卵巣のエコー、卵胞はひとつ。

不思議だ。同じ体、同じ薬でも結果が違うのだな。


たったひとつか。不安だ。

先月は卵胞3つに対して卵いっこしか取れなかったうえに未成熟だった。

今回は卵胞がひとつだけ。恐ろしいな。空砲だったらどうしよう。わらえん。


採卵前日は

怖いよー不安だよー

今さらぴいぴい喚いたとて良質な卵になるわけでもなかろうもん

254167往復した。


採卵当日。

本人確認のための静脈認証に毎度毎度時間がかかるのだが、(右手何回かやってだめ、左手何回かやってようやく反応)この日にいたっては全く反応しなかった。私の体はどうなってしまったのか。

免許証を見せて本人確認をし、バーコード付きのリストバンドを巻かれた。


いざ手術室。

採卵直前、卵胞がもうひとつあることがわかる。

隠し卵胞ね、わかったわかった。もう期待してないぜ。痛いのが増えるだけです。


しかし、相変わらず不快な痛みである。

胸の上で手をぎゅうっとして耐えてたら、看護師さんが巨大なお手玉みたいなん持ってきて「握ります?」って言ってくれた。握った。なんかよかった。


満身創痍で割り振られたベッドへ。

看護師が速報を持ってきてくれた。

卵子は2個とれていた。

 


培養士の説明。


とれた卵2このうち

ひとつは成熟卵→ふりかけ体外受精チャレンジ

もうひとつは未成熟卵→成熟するか様子見→成熟したら顕微受精

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そして今日も夫のおたまは超優良…

相変わらずの優等生っぷり。

成果に驕らず、毎回しっかり節制してくれているおかげである。


とにかく、今回はいい卵子が採れた。

それだけでホッとした。


次の日

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未成熟卵は未成熟のまま成長せず。

ひとつ残ったたまごちゃんに賭ける。

 


採卵から1週間

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やったー!!!!

胚盤胞まで成長した!凍結できた!

嬉しさよりも、安堵が大きかった。やっと一歩進めた感じがした。

 

余談だが、この凍結確認を電話でしないといけないクリニックもあるそうで。

それってアカンかったとき伝える側も受け取る側も両方辛くない?しんどない?わしゃあ無理じゃ。

 


さて、胚盤胞凍結に至ったわけだが、移植をいつするか?という話になった。

最短だと次週期の8月だが、結果として延期することにした。

先のブログでも書いたが、理由としてはワクチン接種が大きい。

移植後の接種は問題ないとされているが、妊娠超初期の高熱(副反応による)で、貴重な胚盤胞がどうにかなってしまったら悔やんでも悔やみきれない。

 

心の葛藤がすごかった。

愛しさと、切なさと、ちょっとでも早く進めたい気持ちと、なるべくリスクを減らして移植に臨みたい気持ちと、もう採卵やりたくないから今残ってる唯一の凍結卵を絶対に絶対に無駄にしたくない気持ちと。という感じ。


自分自身と夫とも相談して、10月に移植することを決めた。


10月の移植までに体質を改善することにした。

ネットで色々調べた。


着床率を上げるためにできること

【食事編】

・良質なタンパク質を摂る

・糖質を抑える

・いい油を摂る

・妊娠のための栄養素を摂る(ビタミンD、鉄分、葉酸亜鉛


【習慣編】

・適度に運動する

(立ち仕事を運動と認定していいですか1日1万歩余裕で超えます)

・良質な睡眠をとる

(できるものならずっと寝ていたいです)

・体を冷やさない

(温活は得意です湯船に浸かります)

・ストレスを溜めない

(それは無理ゲーです)

 

これからの自分の一挙手一投足で妊娠の合否が変わるかもしれない。選択の分岐を間違えたら即ゲームオーバーになるRPGみたい。やり直しすりゃあいいんだけどさ、ワンプレイ何十万もするんですよね。ものすごいプレッシャーだ。


こんな思いをせずとも、何を考えなくとも子を授かれる人はいるんだし、何をやったところで私の体の細胞が入れ替わるわけでもなければ凍結中の受精卵がはちゃめちゃにいいグレードになるわけでもない。ジタバタしても今さらなにも変わらんのだ。


いい意味で諦めながら、開き直りながら日々を健やかに過ごすのがいいんだろうけどな〜!!!理想論〜!わたしゃそこまで人間ができてねんだよナア〜〜〜!!うじうじしちゃう〜〜!

 

精神修行も課せられる。これが不妊治療である。

不妊治療 体外受精②編

初めての体外受精の後、体調と心のバランスを崩してしまったので2ヶ月治療をお休みすることにした。

そのあいだに思いっきりキャンプをした。

もはや悔いなし、といえるくらい存分に夫婦の時間を楽しんだ。


2021年6月、治療再開。

前回、初期胚移植で陰性だったので

今回は胚盤胞移植だ。

初期胚をもう少し育てて、「胚盤胞」にしてからそれを凍結し、次周期に移植するもの。

胚盤胞、名前だけみるとなんか強そう)


初期胚移植との違い。

胚盤胞移植のほうが妊娠に至る確率が高い。

しかし凍結代や保存代等、かかる費用がドドンと増える。


また、新たに増えたのは

クロミッド という薬の服用。

卵子の質を高める、夢のような薬だ。

ただ副作用があり、子宮内膜(子宮内における赤ちゃんのベッド)を薄くしてしまうらしい。


クロミッドを数日服用し、クリニックにて卵胞・ホルモン値評価。


卵胞が2個あった。

複数個なんて初だ。すごいぜクロミッド

 

しかし内膜が4ミリ。

いつもは10ミリ以上ある。

着床に必要な厚さが最低限8〜10ミリであることを考えると、ばっちり副作用が出ている。

4ミリか。やばいなクロミッド

そんなせんべい布団みたいな内膜に、大事な大事な胚盤胞さまを移植するわけにはいかないわけで。

 

胚盤胞移植の流れは

採卵→体外受精胚盤胞まで成長すれば凍結→ペラペラ内膜は生理でリセット→次の周期のふかふか内膜に移植

となる。つまり最低2ヶ月かかる。


例のごとくシフト調整してもらう必要があり、周りにペコペコ、もとい、協力をいただきながら採卵の日を迎えた。


2回めとなれば慣れたものだ。

ピンクの手術用ガウンに着替え、手術台へ。


笑ってはいけない手術室。

下半身丸出しで名前と生年月日を言わされる。

ここまではいつもどおり。余裕すらある。


モニターに卵巣のエコーが映し出される。

以前の診察のとおり、左側の卵巣に卵胞が2個。

ここで唐突に理解した。

「あの不快な痛みを2回分も味わうってことか?これから」

一気にブルーになった。しかし、私の両脚は手術台にガッチリ固定されている。逃げられない。(まあ逃げないけども)


医師「ひとつめでーす」


私(んぎぎぎぎぎ…痛い…不快…痛い…)


医師「ふたつめでーす」


私(ぎええええええ…耐え抜け…よし…終わり…)

 

 


医師「右の卵巣にもうひとつ卵胞あるのでこちらも吸いますね〜」

 

 

 

私(は?????)

 

 

 

決死の思いで耐えたんだが????

右に隠れ卵胞とか聞いてない。

クロミッドめ。お前のせいだろ。

いやありがとうございます。いや許さん。

反復横跳びする感情。

 


私「…お願いします(ンギェェェェェ)」

 


採卵が終わり、割り振られたベッドに戻る。

満身創痍である。

 


ぐったり横たわっていると看護師が採卵の速報を持ってきてくれた。

 

獲得卵子数:1個


いや、なんでやねん!!!!

痛い思い×3して!!!結局1個て!!!!

思わせぶりな卵胞め!!!!!

1個しか採れないなら吸わないでくれ!!!痛いんだからさあ!!!!!

…嘘です薬で操作した卵胞を放っておくと良くないのはネットで調べましたお医者さん吸ってくれてありがとうございます


ベッドでしばらく休み、血まみれのガーゼを股から抜き、身支度をして別フロアへ。

培養士からの説明。

 

結局、取れた1つの卵子は未成熟卵だった。

不完全なたまごだ。

明日まで成長を見守り、成熟したら顕微受精をする方針らしいがあまり期待しないで、と言われた。

成長しなかったら培養中止になるそうだ。


そして、夫の精子の成績は今回も超優良だった。


説明を聞きながら、視界がぐわんと歪むのを感じた。

また私のせいだ。私が足を引っ張っている。

薬も飲んだのに。それでもダメなのか?

子どものいない未来が頭をよぎり、待合室の端で声を殺して泣いた。


採卵から4日後、クリニックから連絡がきた。

 

未成熟卵は、なんと無事に成熟した。

顕微受精も無事に正常受精。

一発逆転あるか。さあ胚盤胞になってくれ。

 

 

採卵から1週間後、クリニックから連絡。


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残念無念。凍結にも移植にもたどり着けなかった。無力感。

またやり直しか、と落ち込む。

妊活アカウントで仲良くなった子たちとモンハン大会を開催し、LINE通話で「採卵やだよー!!」と言いながらモンスターを蹂躙した。

仲間がいるってありがたいな。

 


かかったお金

¥349,925-

顕微受精は高い。

移植までもたどり着いてないのにこんなにかかるんか、と愕然とした。

30万は助成金で返ってくるとして5万弱は持ち出し。

5万あれば良い焚き火台が買えるぞ。

 


保健所へ申請にいく。

2回目ともなればサクサク。

 

 


そして、子宮は空っぽのまま結婚5周年を迎えた。

 

 


去年も行った鰻屋でしっぽり飲んだ。

結婚記念日だということから子どもの話になり

まだなんです〜と話してたら鰻屋のおばちゃん従業員に

「もう少し太った方が(妊娠するには)いいわね〜」なんて悪気なく言われた。

心に濁流が押し寄せそうになったが

「これ(鰻)いただいて体力つけますね☆」と大人の対応をして、日本酒で全部流し込んだ。

 

 

1時間弱かけて夕涼みしながら歩いて帰り、玄関先で花火をした。


寝る前に5年間を振り返ってぽつぽつと話した。

夫の言葉に救われたので備忘録的に残しておく。


「今までの5年で分かったのは、2人でも楽しく生きていけるってことだね。僕も子どもが欲しい気持ちはとても強いけど、君がいれば人生は最高ってこと覚えておいてね。」


「これからの5年はきっと変わるし、変わろうと取り組んでること(妊活)は間違ってない。やれるとこまでやってみて、もしダメだったとしても2人で楽しく生きていこうね。あっでも子どもはちょう欲しい!!!欲しい!!!」

 

ありがとう夫よ。

もう少し頑張ってみるよ。

一緒に頑張ろうな。

かじかむ指ひろげて

人に必要とされたい、という欲求が強いほうだと思う。

そりゃあ「いてほしくない」と思われるよりは良いだろうが、「いてもいなくても」よりは「いてほしい」と思われたい。


後輩に「(私)さんとシフトが一緒だと嬉しいです」なんて言われた日にゃ「一生守ってやるぜ、ビッグラブ…」となるし、お客さまに「今日(私)さんがいるといいな、と思ってました」なんて言われたら商品代金を全額負担したくなる(アカン)


この欲求のルーツはきっと、私自身の家族構成に由来する。

私は4人きょうだいだ。

姉、私、弟、弟。気ままな次女というポジション。そして実家は寺である。


多感な時期に、悪癖を発揮した。

「私は生まれたとき、周りをがっかりさせてしまったのではないか?」


姉は第一子だ。無条件で誕生を喜ばれる。

弟は長男だ。待望の跡継ぎ扱いされる。

次男の弟は末っ子。末っ子らしく可愛がられるだろう。

では、私は?

また女の子か、次は男の子が良かったね、3人目期待だね、なんて母が言われてたらどうしよう。私のせいで。

寺における真ん中っ子次女の価値とは?


※周りの親族の名誉のために注釈するが、いらない子扱いされたことは一切ない。特に母は4人とも分け隔てなく優しく厳しく育ててくれたと思う。なのにどうして私はこんなにも捻くれてしまったのか。母曰く「あんたは昔から感受性が強くてなあ」とのこと。ただの個性だった。


幼い頃の私は、家庭内で自分のポジションを確立するため必死だったように思う。

両親ともに愉快な人格ゆえ、いつも家庭には笑いがあった。面白いが正義だった。

なので私はとにかく喋った。構って欲しかったのもあるが、とにかく喋った。姉と弟ズが大人しいのをいいことに、特に母に話しかけまくった。母が笑ってくれるのが嬉しかった。

同年代より大人と話すのが好きだったので、母と話すのは楽しかった。

母が夕飯を作っているのを邪魔にならない位置(重要)で眺めながら、1日の報告に始まり思いつくことをなんでも話した。

どんどん出来上がっていく夕飯をキッチンから食卓に運ぶというお手伝いもついでに行う。今思えばあれもポイント稼ぎだったのかもしれん。


中高生になるころには親の愛だけでは飽き足らず、他人に特別扱いされたい欲求が高まっていた。

反抗する生徒が多いなか、教師に媚びを売ることで気に入られようとした。(敬語が使えない頭の悪いやつと思われたくなかったというのもあるが)


友情よりも恋愛を取った。中高生の恋愛なんてほぼ性欲だ。友達を思う感情よりも性欲の方が強烈で、衝動的で、汚くて、強い。

モテるために何をするかを常に考えていた。近付く余地を見せるために同性とはつるまず一匹狼でいた(ぼっちともいう)。異性とは友だちとして接するが、よく笑い聞き役に徹し、ギャアギャア喚かずとにかく「他の女子とは違う」アピールをした。適度にスキを見せ「いけるかもしれん」という男子の欲につけ込み相手の気持ちを限界まで温めた末にひらりとかわす、みたいなことをやっていた。私のことで頭いっぱいやん、と思った途端に満足してハシゴを外す。

今思い返してもひどいな、ただのクズだ。


相手を傷付けてでも、必要とされていると感じたかった。十代の私はとにかく寂しかった。

 


幼き日々の愚行はともかく、この承認欲求は今の仕事にも影響しているように思う。

社会に出てからはずっと接客業だが、お客さまにとって特別な存在になりたい、と強く思っていた。

しかしその思いだけではうまくいかず、自分の思い通りにいかないことがあったときには態度に出てお客さまを怒らせてしまった。

「こんなに一生懸命やってるのに何で文句言われなきゃいけないんだ」「認めないアンタがおかしい」とぶつくさしていた。


相手を傷付けてでも、自分の存在を示したかったのだ。寂しい人間だ。

拗らせた自意識が大人の私をがんじがらめにしている。

 


他人に必要とされるには、与えられる人間にならないといけない。欲しがってばかりの私にはほど遠い。


まだまだ未熟だけれど、自己研鑽こそ人生だろうからトライアンドエラーでやっていくしかない。もがくのが私の人生だというのは不妊治療で身に染みている。

 

 

 

カーネーション椎名林檎

不妊治療 体外受精①移植・判定日編

採卵翌日14時、クリニックからメール。正常に受精し3細胞まで分割しているらしい。

すでに可愛い。生命ってすごい。

採卵後に処方された抗生剤が私のお腹をぶっ壊していたがひとまず安心が勝った。


採卵の2日後、体外で育った胚を体内に戻す。

胚移植だ。


クリニックに来院すると、まずは培養士から今回の胚について説明があった。

・細胞は5分割まで成長

・グレードは3

(1〜5あり、1に近いほどよい。1〜3の妊娠率に大差はない。4になると妊娠率はガクッと落ち、5は移植しても子どもにならないから移植しないそうだ。)

・移植までの時間に4に落ちることはなく、グレード2になる可能性も十分にある

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グレード3か…自分の年齢を過信してたなと恥じいる。低空飛行であることは否めないが、移植できるだけで御の字だ。あとはたまごちゃんと自分のカラダを信じる。


40分ほど待ち、手術室があるフロアへ。

ピンクのガウンに着替えお手洗いを済ませ、ベッドに待機。

手術室に呼ばれる。いざ!

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モニター内の名前確認、静脈確認、手指消毒。

下半身丸出しで脚を開いて手術台に上がる。

「本人確認のため名前と生年月日をお願いします」

個人情報を告げる。個人情報がやまびこされる。

だめだ、やはりおもしろい。だが、笑ってはいけない。ここは手術室だ。


医師が私の股を消毒している間に、枕元にいる看護師からの指示。

奥の空間にある大きいモニターを見るように言われ顔を左に向ける。小さい粒がある。

「これが胚です。これをいまからカテーテルで吸い取り、移植します。」


いのち。そこにいのちがある。まだちっちゃい細胞だけど。もうかわいい。どうしよう。


涙で見えにくいモニター内では、小さい粒にストローのような筒が近付いている。


あっ、吸われた。


いつのまにか私の股には超音波の機器が挿入されており、顔の右にある枕元モニターには子宮内のエコー画像が映されている。


培養士が何かを持って医師に近づく。下腹部に少し圧を感じる。カテーテルが子宮内に入っているようだ。画面内では白いストローがおずおずと子宮内を進んでいる。

ストローから白い小さな粒がプッと吹き出された。


看護師「今、胚が子宮の中に置かれました」


おおお。すごい。

小学生並みの感想しか出てこない。


医師「カテーテル内に胚が残っていないか確認します」


徹底している。安心だ。


「残留なしです」的なことをやまびこされたのち、私は手術室を出た。

20分安静。遠慮なく寝た。


しばらくして看護師がカーテンをめくり尋ねてきた。体調は問題ないか聞かれたあと、新たな処方薬の説明。

デュファストンという、黄体ホルモンを補充する薬だ。子宮内を着床しやすい状態に近付け、着床後は妊娠状態の維持に役立つそうだ。これを12日分1日3回飲めとのこと。

ツイッターの妊活戦士たちが飲んでいたものを、ついに私も飲むようになった。デュファストン、名前だけは知っていてよく目に入ってくるけど処方されたことはない。まるで芸能人に会った気分だ。


会計を待つため待ち合いフロアへ。

有名人(薬)に遭遇し、にわかにウキウキしていた私の前にとんでもない請求額が飛び込んできた。


¥140,437


じゅ…じゅうよんまんえん!!!!

いや、知ってたけど!!!!

ホームページやら口コミやら隅から隅まで見てたから知ってはいたけども!!!!

ほんとに払うんだね!?←


※これでも初回治療のみの「成功報酬制度」を利用していたのでこの程度でした。このまま妊娠成立したら成功報酬を追加で納めることになります。もしそうならトータル5〜60万円くらいになるのか?さぶいぼ出ますね

※クリニックごとに料金やコース設定は全然違います、これはKクリニックの場合です


クレジットカードで支払い。ポイントめっちゃ貯まるなこれは。

 


妊娠したか、してないかの「判定日」は12日後。生理予定日の前日くらいだ。

生理がきてしまっても採血による判定をするので必ず来院してくださいとのこと。


判定日までの間は、極めて大人しく過ごした。念のため自転車には乗らず、禁酒もした。生ものも控えた。カフェインレス生活になった。

 


判定日は土曜だったので、夫がクリニックについてきてくれた。

緊張する、と私があまりにも喚くもんだから、見かねた夫が「陽性ならたまごクラブを買って帰る。陰性なら寿司と日本酒。どのパターンでも楽しみを作っておこう」と提案してくれた。

相変わらず神か?夫の優しさに心がホッとした。


夫「たまごクラブ、ひよこクラブがあるなら終活クラブとか作らないのかな」

私「表紙のフォント変わりそうやな」

夫「♪おわりクラブ・ひつぎクラブ♪」

私「(とんでもねえな)」


夫「荼毘クラブ♪」


_人人人人人人人_

> 荼毘クラブ <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


もしも子どもが望めなかったとしても、このひととなら一生ふたりで生きていけるな。と荼毘クラブが出てきたときに感じたものである。

 


クリニック到着、即採血。


待合室で待機。夫が隣でコーヒーを飲んでいる。羨ましい。


診察室に呼ばれた。心臓がバクバクしている。

転院後一発で授かった、夫の部下の方が頭によぎる。あれ、これで晴れて妊婦になったらわたし大丈夫?やり残したこととかない?一生いまの体には戻れないってことだよね。いや、今さら後には退けない、行くしかない。


医師を前に、椅子に腰かける。

A4の紙ペラが差し出される。検査結果だ。

「(数値のひとつを指差して)ここがゼロになっているので、残念ですが今回は着床していません。」

 


だめだった。ゼロか。そうか。

 


待合室で待つ夫には、だめだった、と報告した。と思う。

正直自分がどんな様子だったか覚えていない。

 


会計の¥7,000を払うとき「これ、何にかかった7千円なんだろう」と思ったことだけ覚えている。

 


そのあとふたりで餃子を食べ、歩きながらコーヒーを飲み、夜は寿司と日本酒を流し込んで帰宅した。

笑えていたと思う。

夫が隣にいてくれて、ただただありがたかった。

 

 

「妊娠してたらどうしよう」だなんて甘いことを考えていた割に、一連の苦労がドッと思い出された。胃に墨汁が流れ込んでくるような気持ちだ。恥ずかしくて重い。ぐちゃぐちゃだ。

 

しかし、前に進んだ。経験ができた。やるかやらないかで悩んでいたときよりよっぽどいい。

また頑張ればいい。お寿司美味しかったし。

 

 

メンタルは寿司(と夫)によりV字回復。

かかった費用の領収書をかき集め、保健所に「不妊治療助成金」の申請をしにいく。今回かかった約18万はまるまる助成金で返ってくるっぽい。

※今までの制度だと我が家の場合所得制限に引っかかっていた。そして最大補助額が15万円までだった。自治体によって助成額は違うが埼玉はめっちゃ充実しているらしい。

サンキュー助成拡充。サンキュー菅総理

 


保健所の帰り道、可愛い赤ちゃんとすれ違った。ほんのちょっとだけつらかった。

不妊治療 体外受精①採卵編

クリニック到着。精子提出。静脈で本人確認もされる。徹底している。


私の受付番号が、行ったことのないフロアに案内された。

カーテンが引かれたベッドがずらりと並んであり、奥から手術着を着た患者がヨタヨタと出てきている。奥が手術室のようだ。


下半身の服をすべて脱ぎ手術着のガウンに着替え、手術キャップを被るよう指示される。

すっごいピンク。ビビるほどベビーピンク。全然趣味じゃない。


トイレに行くよう指示され、また10分ほど割り当てられたベッドで待つ。

どれくらい痛いのかしら、といらんことを考え始めてしまった。

注射器で吸い出すっていうのだから、採血と変わらない感じ?でも病院によっては局部麻酔や静脈麻酔で行うところもあるし。

Kクリニックは髪の毛よりも細い針だから痛みが少ないよ〜っていうのが売りだそうだが、元美容師から言わせたら


髪の太さは!!!!!

個人差が!!!!

あるんや!!!!!!


めっちゃ細い髪よりも細いって認識でおけ!?

と半ばキレそうになる。

 


カーテンの外ですすり泣きが聞こえてきた。手術室から出てきてすぐのようだ。看護師が「痛かったね。びっくりしたね。大丈夫ですよ、ゆっくり休みましょう」と患者に声をかけている。


こんな!!!!

直前で!!!!

やめてくれよ!!!!

めっちゃ怖いやんけ!!!!!


名前を呼ばれた。手術室の横のパイプ椅子で待機。心情的には最悪のタイミングだ。心臓がドラムロール状態。口から出そうってこのことか。

 


手術室に呼ばれた。いよいよだ。

手指消毒。静脈認証。モニターに表示された名前と生年月日が合っているか確認。体重を測る。


手術室は薄暗い。手術台は内診台の機能もついており、足がかっぴろげられるようになっている。

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(こんなイメージ。実際はもっと暗くて、患者の股周りだけ明るい。お股・オン・ステージ状態)

下半身丸出しで台に横たわる。いつものご開帳スタイルだ。カーテンがないぶん、いつもより恥ずかしい。

 

ここで看護師

「本人確認のため名前と生年月日をおっしゃってください」


えっ!!

この状態で!?

丸出しやで!?どういう罰ゲーム!?

いや、いいけどさ!!!


脚ぱっかんの状態で、言われた通りに個人情報を伝えた。

看護師がやまびこする。

「〇〇さん、〇〇年〇月〇日生まれです」

めちゃめちゃシュールだ。

「これはおもろい、あとで夫に話そう」なんてのん気な考えがよぎったが、おかまいなしに採卵がスタートする。


卵巣内を映す機械がまず挿入される。枕元のモニターを見るように指示される。

これが卵胞です、これの中身を今から吸い出します、と。

悠長にハイ、ハイ、と返事をしていたところ、医師から


「チクッとします」のかけ声。

針が刺さっていく。


ん?耐えられるくらいかな?

んー。違うな、これは痛い。

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あああああああ痛い、痛いわ。

痛いのと不快感がすごい。

耳の穴をアカンところまで掃除されている感じ。ギイイイイと目を瞑りたくなる。脚を閉じたい。痛い。

イラスト検索したけど、見てるだけで痛い。

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子宮め、笑ってる場合ではないぞ。

 

痛みに耐えていると、看護師が肩に手を添えてくれている。人肌っていいな…いや痛いけど…

針の先が卵胞に刺さりました、吸い取ってますよ。とのこと。モニターを見る。

卵胞だと言われていた丸がどんどん小さくなっていく。

 


医師「最後まで吸い取るため針を少し動かします」

 

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いだだだだだ!!!!!

やめえ!今すぐやめえ!!!

なあにが「髪の毛より細い針」じゃあ!

グリグリすなあ!!!!

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イマジナリー千鳥ノブが私の脳内で大暴れしている。


ひたすら耐え、痛みのピークが去った。注射針が抜かれたようだ。

止血のためにガーゼが挿入される。


医師「ガーゼ2枚入ります」

看護師1「ガーゼ2枚〜」

看護師2「ガーゼ2枚〜」


手術室はラーメン屋ですか?高学歴たちがやまびこしている。(のちのち理由がわかる)


ともかく終わったらしい。看護師の誘導でヨタヨタしながらベッドに戻る。お股からはガーゼの先がピロピロとたなびいている。


「ベッドでしばらく横になって安静にしてください」


遠慮なく横たわる。

終わったのか。下腹部が生理痛のような鈍痛だ。ちょっと気持ち悪い感じがする。

ほっとしたのか、緊張の糸が解けたのかちょっとだけ涙が出てきた。


5分くらいで看護師が入ってくる。採卵結果の速報と、これからの流れの説明だ。

卵子は1個採れた

・あと20分くらい休め

・その後トイレ行ってガーゼを抜け、2枚入ってるか確認せよ

・トイレットペーパーに血が付かないか確認せよ

・トイレから出たら看護師にガーゼ枚数を報告せよ


手術室でのガーゼやまびこは、体内に異物が残らないようにするためか。なるほど。


20分後、まだ鈍痛は薄ぼんやり感じるものの動けないわけではない。看護師に誘導されトイレにいく。

ところどころ血に染まったガーゼが自分の股からズルズルと出てくる。軽いホラーだ。

血は止まっているようなので、トイレの外で待機している看護師に枚数を伝える。


体調が悪くなければ身支度を整えて待ち合いフロアで待機、培養士と医師からの説明があるとのこと。


エレベーターに向かう廊下から、ガラス張りになった培養室が見える。

どうかよろしくお願いします、と小さく手を合わせた。


培養士と医師からの説明。

卵子の状態は特に所見なし、悪くないです。精子の成績は平均以上でとても良いです」

億男め…!頼りになるぜ、夫!!

精子の成績が良いので、このまま卵子精子をふりかける形での体外受精を試みます。正常に受精し、細胞が分割したら翌日メールにてお伝えします。順調に進めば明後日、新鮮胚移植(凍結せず新鮮な状態で体内にもどすこと)を行います。」


とんとん拍子だ。今日採ったやつは明後日に戻すのか。考えたひとすごいな。


お会計、40,000円。

明後日ビビるほどの金額を請求されることを、私はまだ知らない。

 

移植、判定日編へ続く

不妊治療 体外受精①卵子がんばれ編

医師から指定された日に来院。30分早く着いてしまった。

待つだろうなと覚悟を決めて、診察券を受付機に通す。採血フロアに向かえと印字されている。

 

フロア移動。採血コーナーに私の受付番号が表示されている。

えっ!もう血ィ抜いてくれんの!?すご!システム!すご!

受付、即、採血。わかりやすい。

一日500人くらい来院するらしいからこの人数こなすにはこうなるか。すごいぜ最後の砦。


しかし採血結果が出るまでは時間がかかる。結局2時間くらい待ったのち、医師からの説明。


「血液からわかる今現在の数値では、成熟した卵子とは言えません。明日もう一度血液検査に来てください。」


明日来いだと…??明日も仕事なんだが…?


「明日の数値がよければ、その2日後に採卵します。再検査の方用の予約枠で予約しておきますね、時間は7:30です」


早朝すぎんか…?何時に起きるねんわたし


「数値によっては明日急遽採卵になるかもしれないから、一日休みを取ってください」


検査だけやって出勤、もアカンのか!ぎええ!


しかし「さもなくば死ね」と言われたくない私は医師に「わかりました」と告げ、会計待ちの間に店長に明日休みを取りたい旨の連絡をした。お店のみんなごめん。申し訳なくてすでに吐きそう。


翌日再検査になったため会計はなし。

重い足取りで帰宅した。

 


翌日、再診。

数値はじゅうぶん。

「明日の午後採卵します」


あ…明日…?2日後ではないのか…?

明日は仕事なんですけど…お休みは(前もって相談したうえでなんとか)明後日に取ったんですけど…

しかし「さもなくば(略)」と言われたくないので、また店長に連絡。もうすでにいやだ…申し訳なさすぎて消えたい…

 


医師との面談のあと、看護師から採卵前日・当日についての説明。

点鼻薬を処方された。排卵時間のコントロールのためらしい。

健康体人生、無論はじめての点鼻薬である。

看護師の指導を受け、目の前でキメる。右・左・右と3プッシュ。「上手です」と褒められる。特技に点鼻薬って書こうかな、今後。

鼻から口へ流れてくる。苦い。


座薬も処方された。ボルタレンだ。

本来痛み止めに使用するものだが、意外な効果として、卵胞の壁を厚くし不意の排卵を防ぐそうだ。気づいたひとすごいな。

18時・24時・翌朝9時にズキュンせよとのこと。忘れそう。


当日はネイルだめ。酸素濃度計が反応しなくなるため。

リップ、チークもだめ。肌の血の気を見るため。

手術と同じと考えてください、と。

受けたことないんすよ手術…と思いながら「承知しました(キリッ)」と返事した。

 

夫にも ことの顛末を説明した。

仕事を休むことや長時間の通院、投薬、体への負担について労ってくれた。いいやつだ。

座薬を忘れないように。彼もきちんと投薬できてるか心配だろうから終わり次第随時LINEで知らせてあげよう。

「座薬がログインしました🍑」

 

スベリました。

 

 

採卵当日。

採精を夫にお願いしてある。射出してから2時間以内に提出せよとクリニックからのお達しだ。

新宿までドアトゥードア最短1.25時間。制限時間カツカツである。ミッションインポッシブルのBGMが聞こえそう。

出発時間ギリギリで採精する必要があったので、平日だったが夫は午前休を取ってくれた。ありがとう夫よ。

 

出発時間直前。

夫から精子が入ったカップを預かる。

(神妙な顔で寝室から出てきたのが印象的だった)

カップをタオルを巻いて保温バッグに入れ、温度変化を防ぐ。

そのまますぐに埼玉から新宿へ向かう。

 

まさか私が精子をカバンに入れて運んでいるなんて、この車両に乗り合わせたひと誰も思わないだろう。

今「カバンの中身見せてください!」的なモデルがよく突撃されるやつに遭ったら万事休すだ。私がカリスマモデルなら若い女子の間でカバンに精子を入れるのが流行ってしまう。ハッシュタグ「カバンの中身」界隈がざわついてしまうぞ。

 


埼玉と東京の境を越えたくらいから、このような平和な思考はできなくなってくる。急に不安に襲われる。

体質がポンコツっぽいことはわかったが、卵子の質も悪かったらどうしよう。

そもそも採れなかったら?メンタル大丈夫そ?

 


いやいや、いま不安になったところでいきなり卵子が育つわけじゃない。ぐだぐだ考えても質が良くなることはない。やめよ。無事にクリニックに到着して精子を提出することだけ考えよう。

 

採卵編に続く