悲しみと同じ歩幅で歩いた
ワクチン接種当日。
夫とともに会場に向かう。
上がらないテンション。不機嫌にならないよう己を鼓舞する。
新しく買ったジャンパースカートを履いた。見立てどおり可愛い。テンション上がる。
何を合わせようか。肩に注射するらしいから、袖めくるのも億劫だしいっそ丸出しにしてやろう、とノースリーブを重ねて着用。
アリだ。悪くない。お医者への配慮もできている。
だが、注射のためのコーディネートだと思うとなんだかモヤモヤする。
これではワクチンの奴隷だ。
テンションが下降する。
洗面所で唸っていると、夫登場。
「お、服かわいいやん」
おっけー!!!!
万事おっけー!!!
さあ出かけよう、栄光のワクチン接種へ!!!
筆者はこういう女である。
11時前、会場到着。都内某所。
受付で問診票記入。
夫が光の速さで終わらせ、私を置いて中へ入っていく。
薄情者め。
会場内はガラガラで、密にならないよう工夫されていた。
夫から遅れをとったものの間には誰も入らず、夫が先に医師のもとへ、私は次の人用イスへ。
こわい。鼓動がはやい。たぶんボルトよりはやい。
そんな中、接種を終えた夫が医師に
「全然痛くなくて感動しました」と感謝を伝えている。
まーーーた、ひとたらしして!と思いつつ、一筋の光。
注射が上手なお医者なのかもしれん。
私の番がきた。
朗らかに私に挨拶をしてくれる女性の医師。
緊張するとやたら口数が増す私。
私「お願いします!注射怖いです!」
医師「あら〜怖いですか〜!人それぞれいろんな反応されるから面白いんですよね〜!」
マッドサイエンティストか…?
否、夫の言葉を信じよう。
いざ。
医師「腕をブランとさせて力を抜いていてくださいね。手をぐっと握ったりしないようにね。はい、針が入りまーす。薬が入りまーす。はい、終わりましたよ!」
うん。わからん。
チクッとはしたけど、そもそも私
肩に注射したことないわ。
比べようがない。杞憂でしたわ。
とりあえず終わったので肩の力が抜けた。
(ずっと抜いていたが)
少し歩き別のスペースへ。
15分間待機。万が一、アナフィラキシーショックが起こった際に対応できるようにらしい。
15分でセットされたタイマーを渡される。椅子に座ったらスタートを押せとのこと。
夫を探し、隣の椅子へ座る。
隣といっても椅子同士のスペースはかなり広い。
そして待機場所は会話禁止のため、ラインでやりとりをした。
夫「まったく痛くなかった。注射の天才女医だ」
私「明るくて優しかった」
私のせいで会話が噛み合わないことはしょっちゅうだ。お気になさらず。
無事待機を終え、まっすぐ最寄駅まで帰る。
駅ビルのカフェで軽食を取り、自宅の近所のスーパーで買い出し。
熱が出たとき困らないように、ゼリーやスポーツドリンクなど。
「こんなに買って、余っちゃうんじゃないか?」
と、思っていた。
ま だ 、そ の と き は。
ルーキー/サカナクション