アラサー女の二死満塁ブログ

ピンチでもありチャンスでもある

退屈が忌ま忌ましい

自由研究に苦い思い出がある。

 

小学生高学年のときに

なにを思ったか「ジグモ」の研究をすることに決めた。

 

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ジグモって知ってるひといるんだろうか。

木の幹の根本あたりに筒状の巣をつくっているクモで、

そーっとその巣を土からひっぱり出すと

巣から家主がのそのそ現れる。

自宅の生垣の根本にたくさん巣があったため、

小学生当時の私は捕獲を純粋な気持ちで楽しみ

その蹂躙に一日を費やすほどだった。

 

さて、夏休みを迎え、宿題のなかに

自由研究がある。

学習意欲の低い子供だったため

見通しもクソもなく、マイブームをテーマに設定してしまったのだ。

 

研究とは名ばかり、

図書館に赴き、書籍の内容をそのまんま書き写す。

ただの作業である。

しかも、本やネットで調べてもその情報は薄く

簡単な生態しか出てこない。

模造紙が一向に埋まらない。

焦りを覚えつつも、締め切りが迫っていたため

苦肉の策で

・採取したクモの巣を添付(地獄絵図である)

・画面にでかでかとクモの絵を描きちらし

提出した。

 

2学期が再開し、授業内で

自由研究発表の時間が設けられた。

貯金箱や工作をした者は展示のみで発表は免除。

でかい模造紙組が順番に前に出て発表する。

 

クラスメイトの発表を聞いていた。

アリが何に食いつくかを実験して統計グラフにした、

母といろんな味のクッキーを作った、

日本史の年表にイラストを描いてみた、などなど。

 

ここで頭によぎったこと

 

私の研究内容、薄い上に気持ち悪くない…?

 

 

みぞおちが痛くなって汗がぶわっと出はじめた。

小学生高学年女子といったら

こころもからだも発達してくるころで。

他人からの見られ方やら立ち回り方やら

気になり始めるころで。

 

なのに、ジグモって。

誰も知らんでこんな虫。

しかも研究じゃなくて蹂躙の証。

ひねもす巣を破壊してたやつ、捕虜の生態を淡々と模造紙に書いたサイコパス、のレッテルを貼られるかもしれない。

私もオカンとケーキとか作ればよかった。

後悔してももう遅い。

次は私が前に出る番だ。

 

クラスメイトがみんな私を見ている。

「ジグモの研究」とだけ書いてあるほぼ白のままの模造紙に視線が注がれる。

何を発表することがあるのか。

ネットで調べれば出てくるようなことだ。

それともなんだ、私の蛮行を目の前の27人に晒せと?

恥ずかしい。目が回る。声が出ない。

気付けば涙が止まらずに、私の出番はスキップされた。

 

ああ苦い。とても苦い。

絶妙にネタにしづらいエピソードを

消化したわ。

このころから自意識を拗らせている。

 

 

やつつけ仕事/椎名林檎